2017.10.19

0.01ミリ・ガラス細工のココロを割らないために守るべき3つのコト

同志社大学 インターン

田邉ゆかり


ところで皆さん、「自分は傷つきやすい」と感じたこと、ありますか?

 

挨拶が遅れましたが、私は未来電子テクノロジーでインターンをしている、大学3年生の田邉といいます。

今回は、「田邉!お前のその根暗さを活かしてなんか書けやゴルァ!」という親愛なる先輩方からのエールを受け取ったので、

 

「傷つきやすいから大学もバイトも、今後の就活も辛い。」

「グループワークもつらい。」

「こんな傷つきやすくて、競争社会を生き抜ける気がしない。」

 

という同じお悩みをもつ方に向けて、私なりの生き方をお伝えしたいと思います。

 

そもそも、“傷つきやすい”って?

 

例えば、あなたが家族や先輩、バイト先の上司に、突然怒られた時のことを想像してください。

相手が怒っているのはあなたが原因かもしれませんが、あなたは何を怒られているのかよくわかりません。

 

「田邉くん、別にね、僕は怒りたくて言ってるんじゃなくてね、ただちょっとAをBにするときは絶対にCをしないと…うんたらかんたら」

「(何で怒られてるのかもわからないけど、どうしたらいいかわからない!)す、すみません!ごめんなさい!」

 

と言いながらここで泣きかける人、世の中にいますよね。私です(笑)

 

怒られなくても、

「あの人今日は私に冷たい(気がする)な、もしかして先週話したあのことで、気を悪くしてるのかな(多分そんなことはない)」

「前回も今回もグループリーダーで何もしてくれないし、嫌がらせのためなのかな?(多分そんなことは以下略)」

 

こんな小さなことで、毎日傷ついたり苦しくなったりする人、いますよね。

私が今日伝えたいのは、「別にそれでもいいよ。」ってことです。

 

なんで“別にそれでもいい”のか、そして出来るだけ傷つかないようにするにはどうしたらいいのかを、私の経験とともにご紹介します。

 

 

“傷つきやすい”、HSPという概念

 

みなさんは、HSP(The Highly Sensitive Person)という言葉を知っていますか?

 

文字通り、繊細で感受性豊か、敏感過ぎて傷つくことが増えがちな人を指します。

私は14歳のとき、引きこもりで家から出られずにいた頃、この概念を知りました。

 

『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』

(著)エレイン・N・アーロン

 

この本には、HSPの特徴として

  • すぐにビックリしてしまう。
  • 他人に気分を左右される。
  • 一度にたくさんのことを頼まれるのはイヤ。

と書かれています。

当時の私はこの本を読んで「じゃあ私はずっと敏感過ぎるのか?」「ずっと傷つきやすい引きこもりなのか?」と不貞腐れたりしましたが…(笑)

 

21歳になった今の私にわかることは、

敏感過ぎる(HSPである)ことは、なにも悪いことではない。

ということです。

 

HSPは人口の二割、またはそれ以上いるとも言われています。

どうして、こんなに傷つきやすくて、生きづらい人たちが二割もいるんでしょうか。

それは、生物学的に必要だから、このような形質を持った人が存在するんだろう、という研究があります。

 

例えば、

  • 町が火事になりそうなとき、煙の臭いや違和感にすぐに気づける人。
  • 村の中で喧嘩がおきそうなのを察知して、それとなく根回しする人。
  • ひどい痛みを抱えている人に心から寄り添って、痛みを分け合える人。

 

これらはどれも、HSPの専売特許で、非常に特異な事柄です。

他にも、想像力が豊かな人、デリケートな音や香りの違いを感じ取ること得意な人もいます。

このことから分かるのは、傷つきやすく繊細なことが、悪いことばかりではない、ということです。

 

 

なぜ、“傷ついて”しまうのか

 

では、そんな生物学上必要とされているHSPが、傷ついたり生きづらかったり、してしまうのでしょうか。

理由は大きくわけると2つあります。

 

HSPは、少数精鋭である。

 

数が少ないため、数が多い“鈍感すぎるようにも見える人たち”からはないがしろにされ、気づかれることもありません。

 

飲み会へバンバン行くのがリア充って言われたりしますよね。

頭を使うグループワークや会議の後に、さらに疲れる打ち上げなんてHSPの人には苦痛でしかなかったり。

 

そうなると、どうして自分だけ出来ないんだろう、楽しめないんだろうと、自分を追い込む原因になってしまうんです。

 

いまの社会には、そもそも刺激が多すぎる。

 

例えば私は、満員電車はとんでもなく苦痛です。酔います。学生の頃は、狭すぎる教室に多すぎる学生がぎゅうぎゅうで授業を受けていて、それも苦痛でした。

他の人にとってはただの“ワガママ”に思えるような小さなことが、HSPの方にとっては大きな刺激であり、耐えがたい苦痛になることもあります。

 

そんなときに声をあげにくい環境だと、どうしても息苦しいですよね。

 

では、一体どうしたら、この生きづらさを軽減できるんでしょうか。

引きこもりだった当時の私のことを例にとって、考えてみましょう。

 

 

気を付けることその1:感じ方は人それぞれと理解する。

 

私が引きこもりになった理由は、留学先という小さなコミュニティで受けたいじめでした。

同じ学校から留学先に行っていた先輩や後輩から、寄ってたかって知らない外国でいじめられて、人間不信まっしぐら。

 

「自分のクラスメイトも、私のことを悪く思っているのでは?」

「どうしてお金を払って留学してるのに、いじめられてるの?」

 

当時、おそらく人より英語が出来たのと、仲良くしていただいた先輩がいじめられたことが原因だということは、心のどこかで気づいていました。

けれど、まさか同じ学校の学生が“そんな低俗なこと”で私をいじめるなんて、想像したくなかったんだと思います。

 

HSPの人は、ちょっと悪い経験をしたり、嫌な気持ちになったりすると、そのことについて深く考えすぎてしまう傾向にあります。

 

「どうしてあんなことを言うの?」「どうしてあんなことをするの?」

「(もしかして、)私に非があるのかな」

「(もしかして、)何か嫌なことがあったのかな」

 

考えても考えても、答えが出ることはありません。

 

 

当たり前ですね(笑)

 

 

相手の考えてることなんて、分かりっこないんです。

考えるだけ無駄です。

あなたが深く悲しんで悩んでる間に、相手は焼肉とか食べてうぇいうぇい楽しんでるんです。

 

感じ方は人それぞれで、自分は少し敏感すぎることを、自分でしっかりと理解しましょう。

 

理解するとで、傷つく時間を少しでも減らし、新しい気付きを得ることができます。

 

 

気を付けることその2:みんな察しが良いわけない!

 

傷つきやすく繊細な人の中には、察しが良い方も多くいます。

 

例えば人の家に行けば、

「本棚を見たら悪く思うだろうか?」

「荷物はじゅうたんではなく、フローリングの上に置いた方がいいだろうか?」

「洗い物は手伝った方がいいだろうか」

 

と、いろんなことに気づき、考え、気配りをしようとします。

そしてそれが出来ない人に対して、ついつい、

 

「なんであいつは手土産も持ってこないんだ?」

「なんでじゅうたんの上に荷物を置くの?汚れると思わないの?」

「なんで勝手に本棚を見るの?一声かけてくれないと気味が悪い」

 

と感じてしまい、(勝手に)傷ついてしまうんです。

こんなときあなたが意識すべきなのは、

人間誰しも察しが良いわけではない。

ということ。

 

「こういうことはやめてほしい」

「こういうことをしてもらうと嬉しい」

 

というふうに、あなたが普段感じていることを、できるだけ言葉にするようにしましょう。

このとき、「私は人よりも細かいことが気になる性格だから」と付け加えておくと、角が立たずにすむかもしれません。

 

私はこの方法を使って、昔いたサークルで、勝手に人のパソコンに触る人たちに対処していました。

私の考えではコンピュータはプライバシーの塊で、勝手に触ることはおろか、見ることすら申し訳なく、また触られると嫌な気持ちになるものでした。けれど案外話してみると、何も気にしない人も多くいるものです。

 

あなたが心から「本当に嫌だ!許せない!」と感じる行為であればあるほど、口に出して丁寧に伝えるようにしましょう。

 

いきなり声を荒げてしまっては、今度はあなたが、相手を傷つけることになってしまいます。

 

 

気を付けることその3:自分の感覚を大事に、時には逃げてもいい。

 

私は引きこもりを1年間続けましたが、なんとか高校進学も出来ました。

あのとき私をサポートしてくれた両親や学校の先生、数少ない友人には頭が上がりません。

 

しかし、引きこもりを脱却したくらいで、私の“傷つきやすい”心が変わるわけではありませんでした。

飲み会に行けば立って歩いてワイワイしている人たちの空気に酔い、大阪駅まで出かければあまりの人混みに泣きたくなります。

正直、こう感じるのが私なので、直すこともできません。そしてあなたが辛いと思うことも、きっと考え方くらいで辛くなくなるわけではないんです。

 

大切なのは、

傷つきやすい”自分を大切にする。

ということ。

 

私は人と会うときは人の多い場所に出かけることも多いですが、どうしても体調が悪そうなとき、大変なテストの後などには、予定を断るようにしています。

無理して出かけても、疲れ果てて相手を不快にさせることもありますし、引きこもってMMORPG(ネトゲ)でもやってた方が気楽だったりするんです。

 

これは、“傷つきやすい”から人と関われない、ということではありません。

ただ、

人との距離感を選ぶことをしてもいい。

ということ。

 

「ちょっと苦手だな」と思う人を避けてもいいです。

「ちょっと行きたくないな」という場所に行かなくてもいいです。

 

できるだけ自分が傷つかないように、穏やかに過ごしていきましょう。

 

 

それでも、傷ついてしまったら

 

こんな記事を偉そうに書いている私ですが、「逃げ出したい」「傷つきまくってる」「他人と一緒にいたくない」と感じるときがあります。

 

そんなときは、あなたも私も、おとなしく家で元気を充電しましょう。

HSPの方は人とたくさん接するよりも、自分と向き合うことで、エネルギーをため込むんだそうです。

家でのんびりするのは自分のため、明日誰かと笑顔で会うためと割り切って、休むときはさくっと休みましょう。

 

もしあなたが、“傷つきやすい”自分を、根暗や弱っちい、コミュ障だと感じることがあったら、そのときはぜひ自分のことを、“他人よりも繊細で感受性豊か”なんだと、思い込んでみてください。

 

きっと今まで気づかなかったことに気づけます。

そして繊細な自分を大切にしながら、傷つけてきそうな事象から逃げながら、少しずつ前に出て行きましょう。

 

繊細でも、傷つきやすくても、それでもいいんです。

それがあなたの良いところでもあることを、忘れないでください。

 

そうすることで、大学でもバイト先でも、あなたの一番良いところを前面に出していけるのではないかな、と思います。

 

 

「傷つきやすい」とはかなり毛色は違いますが、同じインターン生でもまったく違うことで悩んでいる人がいて面白いなあと思ったので、紹介しておきます。

周りから愛されようと成果上げることばっかり考えてた僕が、もっと必要なものに気付いた話。

ココロの欲求が溢れ出してます笑

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

編集部からの追記

前回投稿時の画像はちょっと恐ろしげな感じにし過ぎました。

本人が「なんか強そうです!なんども見ちゃいます。ありがとうございます!なんか強そうです!」ってはしゃぐもんですから、いい気になって使ってしまいました。

怖いわ!笑


この記事を書いた人

同志社大学インターン

田邉ゆかり